核弾道ミサイルは、加速ロケットの先端に核弾頭が取り付けられた、鉛筆状の細長い形をしている。飛行距離が長くなるほど、加速ロケットの段数は増える。
弾道ミサイルは、第一弾の加速ロケットにより発射し、高度100キロメートルの大気圏の外へ出る。その後も、加速を続けながら、標的に向かう正しい軌道に乗るように、誘導される。
ロケットの燃焼が終了し、加速が停止した状態で、放物線軌道を飛行し続ける。その後、再突入体が放出されて、標的地へ着弾する。この再突入体は、大気との摩擦熱から、内蔵されている弾頭を保護する。
弾道ミサイルの飛行時間は、射程が、1000、3000、10000キロメートルで、それぞれ、7、15、31分である。加速終了後の速度は、毎秒3-7キロメータである。1000キロメートル以内の隣国から、弾道ミサイルが発射された場合に、着弾までの飛行時間は、およそ6分である。日本政府が対処の決断をする時間、および、日本国民が、退避行動をとれる時間は、極めて限られる。
弾頭は核であると想定されるので、迎撃ミサイルで打ち落とすのは日本列島上ではなく、海上が好ましい。そうすると、迎撃の時間は、さらに短縮される。しかも、弾道ミサイルの速度が、毎秒数キロメートルと速く、迎撃通常ミサイルには、極めて高度な命中精度が要求される。勿論、迎撃核ミサイルは、わが国には存在しない。事実上、1000キロメートル以内で発射された弾道ミサイルの迎撃は極めて困難である。すなわち、隣国が核弾道ミサイルを日本へ発射したら、迎撃は不能と認識していた方が良いだろう。