タイトル画像

新着情報

高田純の論文公開 原子力発電所の過剰な規制停止状態にリスクありRadiation Protection Information Center

高田純 札幌医科大学教授: 北海道冬季大停電事態の人命リスクと 原子力発電所再稼働, FBNews No. 512, 6-10, 2019.

低体温症リスク

熱中症リスク

FBNews 8月号に掲載される高田純教授の論文。 全文が公開、8月1日。原子力発電所の過剰な規制停止状態の大きなリスクを分析し、理性ある規制と運用を論じた。

地震の影響による全道停電が原因で、少な くとも1人が死亡していた。在宅人工呼吸器 の事例である。これが原因で1人が死亡 した。泊原子力発電所が稼動していたなら、 大停電は回避できていたはずだ。冬季大停電事態になれば、北海道では数十万人が低体温症で死亡するリスク推計を本論文が示した。真夏の大停電ならば、全国で多数が熱中症で死亡する。特に、病院、介護施設、高齢者、乳幼児は危ない。

 平成23年3月の福島第一原子力発電所事故 での放射線や放射能による死者は0人、漏洩 した放射性ヨウ素の線量もチェルノブイリの 1千分の1と低く健康影響はない。そ の後、全国の原子力施設は地震と津波対策が 大幅に強化された。泊原子力発電所は、道内 で最強の発電所だが、7年間も原子力規制委 員会に停止させられている。政治と行政の責 任者たちは、原子力発電所の過剰な規制停止 こそ、人命を奪うリスクになっていることを 知らなくてはならない。安全技術の改良を継 続しながら、従来から提唱されている電源の ベストミックスを速やかに実行すべきである。

著者プロフィール: 理学博士(広島大学)。 札幌医科大学教授 物理学教室。医学物理、放 射線防護学。放射線防護情報センター代表、放 射線防護医療研究会代表世話人、放射線の正し い知識を普及する会理事など。最初の科学論文 は、広島大学原爆放射能医学研究所での1945年 8月に広島北西部に降った黒い雨の濃縮ウラン の研究。その後、シカゴ大学ジェームスフランク 研究所、京都大学化学研究所、広島大学原爆放 射線医科学研究所などを経て、2004年より現職。 その間、現地調査を中心に世界の核災害を研究。 未踏科学技術協会高木賞、真の近現代史観懸賞 論文藤誠志賞など受賞。主著に「世界の放射線 被曝地調査」、「Nuclear Hazards in the World」、 「核爆発災害」、「核と放射線の物理」、「中国の 核実験」、「人は放射線なしに生きられない」、 「誇りある日本文明」など。

Get Adobe Reader

※ PDFファイルをご覧頂くにはAdobe Reader日本語版が必要です。お持ちでない方は上のボタンをクリックし、手順に従いダウンロード(無償)して下さい。